排出事業者とは産廃の処理責任と委託後の責任
産業廃棄物の処理を業者に任せたあとで、委託先が不適正な処理をした場合に自社はどこまで責任を負うのか、不安になる担当者は多いはずです。排出事業者とは、事業活動で産業廃棄物を生じさせた事業者で、処理を委託しても責任は残ります。法律は委託の基準を定め、守らなかった場合の罰則と、知事による措置命令も用意しています。条文と神奈川県の案内をもとに、責任の範囲、委託で守る基準、罰則の区分を整理しました。読み終えるころには、自社が押さえる手続きを順に確認できます。
排出事業者とは自らの責任で処理する事業者
排出事業者は、事業活動に伴って産業廃棄物を生じさせた事業者のことです。廃棄物処理法第3条第1項は、事業者が事業活動に伴って生じた廃棄物を自らの責任で適正に処理するよう定めています。第11条第1項も、事業者はその産業廃棄物を自ら処理しなければならないと定めています(e-Gov法令検索、2026年10月13日確認)。
神奈川県の案内も、事業者は自ら処理するか、許可を受けた処理業者に委託するとし、保管基準、処理基準、委託基準に従うよう示しています(2026年10月13日確認)。建設工事の廃棄物では排出事業者が誰になるかが論点になるため、建設廃棄物の元請責任で別に確認できます。
処理を委託しても責任は残る
法第12条第7項は、産業廃棄物の処理を委託する事業者に対し、発生から最終処分までの一連の処理が適正に行われるよう、処理状況の確認など必要な措置を講ずる努力義務を定めています。神奈川県の案内では、実地確認が基本とされ、難しい場合は委託先が公表する情報での確認も示されています。確認の結果は記録に残すことが望ましいとされています。
委託後の責任は、知事の措置命令にもつながります。法第19条の6は、不適正な処理で生活環境の保全上の支障が生じたとき、処分した者だけでは措置が困難で、次のような事情があれば、排出事業者に支障の除去等を命ずることができると定めています。
- 適正な対価を負担していない
- 不適正な処理が行われることを知っていた、または知ることができた
- 法第12条第7項などの趣旨に照らして、措置を採らせることが適当である
法第19条の5は、委託基準に違反して委託した者や、マニフェストの義務に違反した者を命令の対象に含めています。委託したあとも、基準と手続きを守った記録が自社を守ります。
委託するときに守る基準
委託の基準は、法第12条第5項・第6項と、政令第6条の2が定めています。
| 基準 | 内容 | 根拠 |
|---|---|---|
| 委託先の許可 | 運搬は収集運搬業者、処分は処分業者のうち、委託する運搬・処分が事業の範囲に含まれる者に委託する | 法第12条第5項、政令第6条の2第1号・第2号 |
| 書面による契約 | 契約書に種類・数量、運搬の最終目的地、処分の場所・方法・処理能力、最終処分の場所などの条項を含める | 政令第6条の2第4号 |
| 契約書等の保存 | 契約書と添付書面を契約終了の日から省令で定める期間保存する | 政令第6条の2第5号 |
| マニフェストの交付 | 引渡しと同時に管理票を交付する | 法第12条の3第1項 |
契約書の記載項目は委託契約書の記載事項、許可の確認は処理業者の選び方で扱っています。マニフェストの全体像はマニフェストの基本で確認できます。
守らなかったときの罰則
条文の定める区分は次のとおりです(e-Gov法令検索、2026年10月13日確認)。
| 行為 | 罰則 | 根拠 |
|---|---|---|
| 許可を受けた業者以外への委託など、委託先の制限に反する委託 | 5年以下の拘禁刑もしくは1,000万円以下の罰金、またはその両方 | 法第25条第1項第6号 |
| 委託基準に反する委託 | 3年以下の拘禁刑もしくは300万円以下の罰金、またはその両方 | 法第26条第1号 |
| 管理票の交付をしない、虚偽の記載をして交付する | 1年以下の拘禁刑または100万円以下の罰金 | 法第27条の2第1号 |
| 管理票の写しを保存しない | 1年以下の拘禁刑または100万円以下の罰金 | 法第27条の2第5号 |
| 廃棄物を投棄する | 5年以下の拘禁刑もしくは1,000万円以下の罰金、またはその両方 | 法第25条第1項第14号 |
委託後に自社で押さえる手続き
委託後の流れは、次の順に確認します。
- マニフェストを引渡しと同時に交付する
- 返送された写しで運搬・処分の終了を確認する
- 90日(特別管理産業廃棄物は60日)、最終処分は180日で写しが届かなければ、処理状況を把握して措置を講じる
- 契約書、A票、返送された写しを保存する
期限と報告はマニフェストの返送期限にまとめています。
まとめ
排出事業者は、処理を委託しても、委託基準を守り、処理状況を確認する責任を負い続けます。委託先の許可の範囲は許可番号チェッカーで名簿と突き合わせられます。都道府県ごとの窓口は、神奈川県のページのように各ページで確認できます。
参考文献
- 廃棄物の処理及び清掃に関する法律(e-Gov法令検索)(2026-10-13確認)
- 廃棄物の処理及び清掃に関する法律施行令(e-Gov法令検索)(2026-10-13確認)
- 排出事業者の方へ(神奈川県)(2026-10-13確認)