産業廃棄物の20種類業種限定と見分け方

委託契約書やマニフェストの「種類」の欄を前にして、自社の廃棄物が20種類のどれにあたるか手が止まる場面があります。産業廃棄物の種類は廃棄物処理法第2条と施行令第2条が20種類に限定して列挙していて、そのうち7種類は決まった業種から出たものだけが産業廃棄物になります。条文(e-Gov法令検索)と環境省のチェックリスト、群馬県・新潟県・大阪府の案内をもとに、20種類の一覧、業種限定の意味、複合品や混合物の扱い、契約書・マニフェストへの書き方を整理しました。読み終えるころには、手元の廃棄物に条文どおりの種類名をつけられるようになります。

産業廃棄物の20種類は法律に6種類、政令に14種類ある

産業廃棄物は、事業活動に伴って生じた廃棄物のうち、法律と政令が列挙した種類に限られます。廃棄物処理法(廃棄物の処理及び清掃に関する法律)第2条第4項第1号は、燃え殻、汚泥、廃油、廃酸、廃アルカリ、廃プラスチック類の6種類を法律に直接書き、残りを政令に委ねています。施行令第2条は第1号から第13号まで(第4号の2を含めて14項目)を定め、合わせて20種類です(e-Gov法令検索、2026年9月18日確認)。

環境省の「排出事業者責任に基づく措置に係るチェックリスト」は、この20種類を「あらゆる事業活動に伴うもの」12種類と「特定の事業活動に伴うもの」7種類に分けて具体例を載せています。条文の号と合わせると次の表になります。

種類根拠(法=法第2条第4項第1号、令=施行令第2条)業種限定具体例(環境省・県の案内から)
燃え殻なし石炭がら、焼却残灰
汚泥なし排水処理で生じる泥状物、建設汚泥
廃油なし鉱物性油、動植物性油、潤滑油
廃酸なし廃硫酸、廃塩酸などの酸性廃液
廃アルカリなし廃ソーダ液などのアルカリ性廃液
廃プラスチック類なし合成樹脂くず、合成繊維くず、合成ゴムくず(廃タイヤを含む)
紙くず令第1号あり建設業、製紙業、新聞業、出版業などの紙くず
木くず令第2号あり建設業、木材・木製品製造業などの木くず、貨物用パレット
繊維くず令第3号あり建設業、繊維工業の木綿くず、羊毛くず
動植物性残さ令第4号あり食料品製造業などのあめかす、醸造かす、発酵かす
動物系固形不要物令第4号の2ありと畜場の獣畜、食鳥処理場の食鳥の固形状不要物
ゴムくず令第5号なし天然ゴムくず
金属くず令第6号なし鉄鋼・非鉄金属の研磨くず、切削くず
ガラスくず、コンクリートくず及び陶磁器くず令第7号なしガラスくず、耐火れんがくず、陶磁器くず
鉱さい令第8号なし高炉・転炉の残さい、鋳物砂
がれき類令第9号なし工作物の新築・改築・除去で生じたコンクリート破片
動物のふん尿令第10号あり畜産農業の牛・馬・豚などのふん尿
動物の死体令第11号あり畜産農業の牛・馬・豚などの死体
ばいじん令第12号なしばい煙発生施設などの集じん施設で集めたもの
処分するために処理したもの令第13号なしコンクリート固型化物

出典: 施行令第2条の条文(e-Gov法令検索)、環境省チェックリスト、群馬県・新潟県の案内(いずれも2026年9月18日確認)

がれき類は、条文では「工作物の新築、改築又は除去に伴って生じたコンクリートの破片その他これに類する不要物」で、環境省と各県の表がこれを「がれき類」と呼んでいます。第13号は、ほかの19種類を処分するために処理した結果、どの種類にも該当しなくなったものです。

この20種類とは別に、外国から輸入された廃棄物は発生源や性状にかかわらず産業廃棄物です(法第2条第4項第2号。航行廃棄物・携帯廃棄物を除く)。

「事業活動に伴って生じたか」という家庭ごみとの区分は一般廃棄物と産業廃棄物の違いで扱っています。ここからは、産業廃棄物と決まった後に20種類のどれかを決める段階の話です。

どの業種から出ても産業廃棄物になるのは12種類

燃え殻からばいじんまでの12種類は、排出した事業者の業種を問いません。群馬県は、製造工程で出るものから製品の使用後に廃棄されるものまで、すべてが産業廃棄物になると説明しています。ここでいう事業活動は製造業や建設業に限らず、農林業、商店などの商業活動、水道事業、学校などの公共事業も含みます(群馬県サイト、2026年9月18日確認)。

だから、事務所から出たプラスチック製の弁当容器やペットボトルも廃プラスチック類として産業廃棄物です。大阪府は、従業員が事務所で飲食した弁当の容器は事業活動に不可避的に伴うものだと案内しています。飲料缶は金属くずです(大阪府サイト、2026年9月18日確認)。

12種類の中で線引きを間違えやすい3組

汚泥は「泥状を呈するもの」です。大阪府は、粉末状・固形状・粒状の不要物(粉末消火剤、錠剤、泥状以外の食品など)は汚泥にあたらず、ほかの種類にも該当しなければ一般廃棄物になると案内しています。

ガラスくず・コンクリートくず・陶磁器くず(第7号)とがれき類(第9号)は、コンクリートの出どころで分かれます。工作物の新築・改築・除去に伴って生じたコンクリート破片はがれき類で、第7号のコンクリートくずからは除かれています。製品の製造過程で生じたコンクリートブロックくずは第7号です(群馬県の具体例)。

廃プラスチック類には、合成繊維くずと合成ゴムくず(廃タイヤを含む)が含まれます(環境省チェックリスト)。天然ゴムはゴムくず、木綿や羊毛の天然繊維は繊維くずで、繊維くずには次に見る業種限定がかかります。

業種限定の7種類は対象業種から外れると一般廃棄物になる

紙くず、木くず、繊維くず、動植物性残さ、動物系固形不要物、動物のふん尿、動物の死体の7種類は、施行令第2条がそれぞれの号で業種を指定しています。指定された業種の事業活動から出たものだけが産業廃棄物で、それ以外の業種から出た同じ物は一般廃棄物(事業系一般廃棄物)です。群馬県は、建設業やパルプ製造業、製紙業から出た紙くずは産業廃棄物になるが、食料品製造業や運送業から出る紙くずは一般廃棄物になる、という例を挙げています。

種類施行令第2条産業廃棄物になる範囲(条文の要約)
紙くず第1号建設業(工作物の新築・改築・除去に伴うもの)、パルプ・紙・紙加工品の製造業、新聞業(新聞巻取紙を使う印刷発行)、出版業(印刷出版)、製本業、印刷物加工業。ポリ塩化ビフェニル(PCB)が塗布・染み込んだものは業種を問わない
木くず第2号建設業(同上)、木材・木製品の製造業(家具製造業を含む)、パルプ製造業、輸入木材の卸売業、物品賃貸業。貨物の流通に使ったパレット(積付け用のこん包材を含む)とPCBが染み込んだものは業種を問わない
繊維くず第3号建設業(同上)、繊維工業(衣服その他の繊維製品製造業を除く)。PCBが染み込んだものは業種を問わない
動植物性残さ第4号食料品製造業、医薬品製造業、香料製造業で原料として使った動物・植物に係る固形状の不要物
動物系固形不要物第4号の2と畜場でとさつ・解体した獣畜、食鳥処理場で処理した食鳥に係る固形状の不要物
動物のふん尿第10号畜産農業に係るもの
動物の死体第11号畜産農業に係るもの

出典: 施行令第2条(e-Gov法令検索、2026年9月18日確認)。環境省と新潟県の表は、動植物性残さの業種に飲料製造業を含めています

木製パレットは業種を問わず産業廃棄物

木くずには、業種限定の外にある品目が1つあります。平成20年4月1日施行の施行令改正で、貨物の流通のために使用したパレットに係る木くずと、物品賃貸業に係る木くずが産業廃棄物に加わりました。環境省の施行通知(平成19年9月7日付)は、パレットには業種による限定が設けられていないため、排出事業者の業種を問わず産業廃棄物にあたると説明しています。魚や野菜を入れる小型の木箱や、パレットを使わない大型の木枠は、この扱いに入りません(環境省サイト、2026年9月18日確認)。

同じ通知は、物品賃貸業を日本標準産業分類の中分類88にあたる事業と説明しています。自社の業種を判断するときは、この通知と同じく日本標準産業分類を手がかりにできます。

建設業の限定は「工作物の新築・改築・除去」に伴うもの

紙くず・木くず・繊維くずの建設業の限定には、「工作物の新築、改築又は除去に伴って生じたもの」という条件が重なっています。大阪府は、木製の枕木を建設業者の請負で除去すれば産業廃棄物の木くずになるが、電鉄会社が自ら除去したものは一般廃棄物になる、という例を示しています。

動植物性残さは「原料として使用した」ものに限る

動植物性残さには、業種限定に加えて「原料として使用した動物又は植物に係る固形状の不要物」という条件があります。大阪府は、腐敗した食品そのものは含まれないこと、貝殻は食料品製造業などの製造工程から出れば動植物性残さで、漁業や小売業から出れば一般廃棄物になることを案内しています。動物のふん尿も同じ考え方で、動物園やペットショップから出るふん尿は畜産農業に係るものではないため一般廃棄物です。

複合品・混合物・特別管理産業廃棄物はどう判断するか

複合品は含まれる種類の混合物として扱う

金属とプラスチックでできた製品のように複数の材質が一体になった物は、それぞれの種類の混合物です。大阪府は、産業廃棄物Aと産業廃棄物Bが混合すればAとBの混合物になるという考え方で、次のように整理しています。

  • 廃蛍光管 — ガラスくず・コンクリートくず・陶磁器くず(ガラス管)と金属くず(電極)の混合物。水銀を含むため、水銀使用製品産業廃棄物として分別する
  • 廃乾電池 — 金属くず(亜鉛缶・鉄外装)と汚泥(二酸化マンガンなど)の混合物
  • オイルエレメント — 金属くず、廃プラスチック類、廃油の混合物

汚泥と廃油、廃塗料は性状で分かれる

大阪府は廃塗料・廃インキについて、固形状なら廃プラスチック類、泥状なら汚泥、溶剤系の液状なら廃プラスチック類と廃油の混合物と案内しています。泥状のものに油分がおおよそ5%以上含まれる場合は汚泥と廃油の混合物で、飲食店のグリストラップ汚泥も同じ基準です。

一般廃棄物と混ざった物は、総体で決められる場合と分けて委託する場合がある

一般廃棄物と産業廃棄物が混ざった物は、扱いが2つに分かれます。大阪府は、金属・プラスチック・ガラス製の部分と木製・繊維製・皮革製の部分でできた複合製品は総体として産業廃棄物にあたると案内しています。他方、綿50%・ナイロン50%の混紡ユニフォームは廃プラスチック類と一般廃棄物である天然繊維の混合物で、総体として産業廃棄物とみなすことはできないとしています。判断に迷う品目は、管轄の都道府県・政令市に材質と混合割合を伝えて確かめると確実です。

特別管理産業廃棄物は20種類の中から性状で切り出される

特別管理産業廃棄物は、20種類とは別の21番目の種類ではありません。法第2条第5項が、産業廃棄物のうち爆発性・毒性・感染性などの性状を持つものとして政令で定めるものと定義し、施行令第2条の4が列挙しています。環境省の一覧では、燃えやすい廃油、pH2.0以下の廃酸、pH12.5以上の廃アルカリ、感染性産業廃棄物、特定有害産業廃棄物(廃PCB等、廃石綿等、廃水銀等、基準を超える有害物質を含む汚泥・ばいじんなど)に分かれます(環境省サイト、2026年9月18日確認)。

大阪府は鉛蓄電池を、廃プラスチック類(ケース)、金属くず(極板・端子)、特別管理産業廃棄物である廃酸(希硫酸)の混合物と整理しています。元の種類名と特別管理産業廃棄物であることの両方が分かる書き方です。該当する場合、委託先は特別管理産業廃棄物処理業の許可を持つ業者に限られます(環境省)。

契約書とマニフェストには条文どおりの種類名を書く

委託契約書には、委託する産業廃棄物の種類と数量を書きます(施行令第6条の2第4号イ)。マニフェスト(産業廃棄物管理票)にも、種類と数量を記載して引渡しと同時に交付します(法第12条の3第1項)。どちらも、ここまで見てきた20種類の名称で書く欄です。環境省のチェックリストは、種類を把握して分別することが適正処理の要だと説明しています。

産業廃棄物管理票は種類毎の交付が原則です

同じチェックリストは、委託契約した種類以外の産業廃棄物を委託処理することは委託基準違反等になるとも書いています。「プラごみ」「雑ごみ」といった社内の呼び名で契約書を作ると、委託先の許可証の事業の範囲と照合できません。

種類名は委託先の許可の範囲と同じ言葉で書く

施行令第6条の2第1号・第2号は、委託する運搬や処分が受託者の事業の範囲に含まれることを委託基準にしています。大阪府の案内も、プラスチック製の不要物は廃プラスチック類を事業の範囲に含む業者に、金属製の不要物は金属くずを事業の範囲に含む業者に、と種類ごとに委託先を選ぶ形です。契約書の種類の欄を許可証と同じ種類名でそろえておけば、この照合が1行ずつ済みます。契約書に書く事項の全体は委託契約書の法定記載事項で、マニフェストの流れはマニフェストの基本で整理しています。

混合物は含まれる種類をすべて書く

混合物は、含まれる種類をすべて書きます。廃蛍光管なら「ガラスくず・コンクリートくず・陶磁器くず」と「金属くず」の両方で、委託先の許可がその全部を含んでいるかを許可証で見ます。石綿含有産業廃棄物、水銀使用製品産業廃棄物、水銀含有ばいじん等が含まれる場合は、契約書にその旨を書き(施行規則第8条の4の2第6号ホ)、マニフェストにはその数量を書きます(同規則第8条の21第11号。e-Gov法令検索、2026年9月18日確認)。

委託先候補の11桁の許可番号は、許可番号チェッカーで自治体の名簿と照合できます。

よくある質問

事務所から出るコピー用紙や段ボールは、産業廃棄物ですか。

紙くずは業種限定のある種類なので、建設業や製紙業、新聞業、出版業などの指定業種以外の事務所から出た紙ごみは一般廃棄物です。大阪府は、事務所のコピー用紙やシュレッダーで細断した書類は市町村のルールに従って委託し、古新聞・段ボールは専ら再生利用の目的となる廃棄物として再生業者に渡す区分を示しています。同じ事務所でも、プラスチック製の容器や金属製の事務机は産業廃棄物です。

天然繊維と合成繊維が混ざった作業着は、どちらの許可を持つ業者に頼めばよいですか。

混合割合によります。大阪府は、綿50%・ナイロン50%の混紡ユニフォームは廃プラスチック類と一般廃棄物である天然繊維の混合物になり、総体として産業廃棄物とすることはできないと案内しています。この割合なら、産業廃棄物処理業と一般廃棄物処理業の両方の許可を持つ業者に委託するか、分離して別々に委託します。合成繊維製なら廃プラスチック類として産業廃棄物処理業者に委託できます。

油の付いたウェスは、何の種類で書けばよいですか。

ウェスの材質で決まります。大阪府の案内では、合成繊維製は廃プラスチック類、天然繊維製は指定業種から出れば繊維くず、それ以外の業種なら一般廃棄物です。付着した油は廃油で、大阪府は持ち上げて油が滴り落ちる程度なら廃油との混合物として扱うと判断しています。合成繊維製なら「廃プラスチック類と廃油の混合物」と書きます。

まとめ

産業廃棄物の種類は、法律に6種類、施行令に14種類の合わせて20種類から選びます。燃え殻からばいじんまでの12種類は業種を問わず、紙くず・木くず・繊維くず・動植物性残さ・動物系固形不要物・動物のふん尿・動物の死体の7種類は指定業種から出たものだけが産業廃棄物です。複数の材質でできた物は含まれる種類の混合物として書き、特別管理産業廃棄物は元の種類名と併せて書きます。

種類が決まったら、委託先の許可証の事業の範囲にその種類が入っているかを見ます。許可番号は許可番号チェッカーで自治体の名簿と照合でき、都道府県から探すときは神奈川県愛知県埼玉県佐賀県北海道の各ページが使えます。

参考文献