産業廃棄物の保管基準掲示板・高さ・届出の要点
工場や工事現場、店舗の一角に産業廃棄物を置いて収集運搬業者の引き取りを待つ間、その置き方には廃棄物処理法で決まった基準があります。排出事業者に適用されるのは施行規則第8条の産業廃棄物保管基準で、囲い・掲示板・飛散流出の防止・積み上げ高さ・害虫防止の5項目です。e-Gov法令検索の条文と環境省サイトに掲載された通知、群馬県・埼玉県の案内をもとに、掲示板に何を書くか、どこまで積めるか、どんな場合に届出が要るかを整理しました。読み終えるころには、自社の保管場所を条文の番号ごとに点検できます。
保管基準は囲い・掲示板・防止措置・高さ・害虫の5項目でできている
産業廃棄物保管基準の根拠は、廃棄物の処理及び清掃に関する法律(廃棄物処理法)第12条第2項です。運搬されるまでの間、事業者は環境省令で定める技術上の基準に従い、生活環境の保全に支障が出ないように保管する義務を負う、という内容です(e-Gov法令検索、2026年9月15日確認)。その環境省令が施行規則第8条で、内容は次の5項目に分かれます。
| 項目 | 求められること | 根拠 |
|---|---|---|
| 囲い | 周囲に囲いを設ける。廃棄物の荷重が直接かかる構造なら、その荷重に対して構造耐力上安全なものにする | 施行規則第8条第1号イ |
| 掲示板 | 見やすい箇所に縦横それぞれ60cm以上の掲示板を設け、4つの事項を表示する | 施行規則第8条第1号ロ |
| 飛散・流出・地下浸透・悪臭の防止 | 汚水が生ずるおそれがあれば排水溝等を設け、底面を不浸透性の材料で覆う。その他必要な措置を講ずる | 施行規則第8条第2号イ・ハ |
| 積み上げ高さ | 屋外で容器を用いずに保管する場合、囲いの構造ごとに定められた高さを超えない | 施行規則第8条第2号ロ |
| ねずみ・害虫 | ねずみが生息せず、蚊・はえその他の害虫が発生しないようにする | 施行規則第8条第3号 |
出典: 廃棄物処理法施行規則第8条(e-Gov法令検索、2026年9月15日確認)
石綿含有産業廃棄物には仕切りと覆い・梱包(第8条第4号)、水銀使用製品産業廃棄物には仕切り(第8条第5号)が加わります。この5項目に「保管できる数量」は入っていません。上限があるのは収集運搬業者と処分業者の保管で、後半で整理します。
排出事業者と処理業者で守る基準はどう違うか
保管の基準は、保管する人の立場と目的で適用される条文が変わります。排出事業者が事業場内で運搬されるまで保管するときは産業廃棄物保管基準(法第12条第2項・施行規則第8条)、特別管理産業廃棄物なら特別管理産業廃棄物保管基準(法第12条の2第2項・施行規則第8条の13)です。収集運搬業者の積替えのための保管と処分業者の処分・再生のための保管は産業廃棄物処理基準(法第14条第12項・施行令第6条)です。排出事業者が自ら運搬や処分を行う場合も、同じ処理基準に従います(法第12条第1項)。
骨組みはどの立場でも共通で、違いは、数量の上限が処理業者側にだけあることと、処理業者の掲示板には保管上限の表示が加わることです(施行規則第7条の3・第7条の5)。
建設工事では、注文者から直接請け負った元請業者が事業者にあたります(法第21条の3第1項)。下請負人が行う保管にも、下請負人を事業者とみなして第12条第2項の保管基準が適用されます(同条第2項)。自社のごみが産業廃棄物にあたるかどうかは、一般廃棄物と産業廃棄物の違いで整理しています。
囲いと掲示板は何を満たせばよいか
囲いは荷重がかかるなら構造耐力上安全なものにする
保管場所の周囲には囲いが必要です(施行規則第8条第1号イ)。条文は素材や高さの数値を定めていません。条件が付くのは産業廃棄物の荷重が直接囲いにかかる構造の場合で、その荷重に対して構造耐力上安全なものでなければなりません。環境省サイトに掲載されている平成10年5月7日付けの通知(衛環第37号)は、変形や損壊が見られる囲いは基準に適合していないと判断して差し支えないとしています(環境省サイト、2026年9月15日確認)。
掲示板は縦横60cm以上で4つの事項を書く
掲示板の要件は施行規則第8条第1号ロにあります。大きさは縦および横それぞれ60cm以上で、次の4つを表示します。
| 表示する事項 | 根拠 |
|---|---|
| 産業廃棄物の保管の場所である旨 | 施行規則第8条第1号ロ(2)(イ) |
| 保管する産業廃棄物の種類。石綿含有産業廃棄物、水銀使用製品産業廃棄物、水銀含有ばいじん等が含まれる場合はその旨 | 同(ロ) |
| 保管の場所の管理者の氏名または名称と連絡先 | 同(ハ) |
| 屋外で容器を用いずに保管する場合は、積み上げてよい高さのうち最高のもの | 同(ニ) |
出典: 廃棄物処理法施行規則第8条第1号ロ(e-Gov法令検索、2026年9月15日確認)
置き場所と書き方は平成10年通知に指示があります。掲示板は保管の場所に通常出入りする箇所に外部から見やすいように設置し、白地に黒色の文字など見やすい表示にして、雨水等で汚損したり消えたりしないものにすること。群馬県の案内ページには排出事業者向けの表示例が画像で載っています(群馬県サイト、2025年5月30日更新、2026年9月15日確認)。
排出事業者の掲示板に保管上限の表示は要りません。平成10年通知は、排出場所から運搬されるまでの間に事業者が行う保管について、保管数量の上限規制はなく、掲示板における保管上限の表示は要しないと明記しています。
飛散・流出・悪臭の防止と積み上げ高さの上限
施行規則第8条第2号は、保管の場所から産業廃棄物が飛散し、流出し、地下に浸透し、悪臭が発散しないように措置を講ずることを求めています。具体的に書かれているのは汚水対策と積み上げ高さで、残りは「その他必要な措置」です。
汚水が出るおそれがあれば排水溝と不浸透性の底面
産業廃棄物の保管に伴い汚水が生ずるおそれがある場合は、公共の水域と地下水の汚染を防ぐために必要な排水溝その他の設備を設け、底面を不浸透性の材料で覆います(施行規則第8条第2号イ)。平成10年通知は、安定型産業廃棄物のみを保管する場合と、腐食・漏出しない容器で保管する場合は「おそれがある場合」に該当しないと判断して差し支えないとしています。
容器の状態・仕切り・害虫も基準に含まれる
第2号ハの「その他必要な措置」について、平成10年通知は、容器が変形・腐食・損壊するおそれがある場合には措置が講じられていないと判断して差し支えない、と述べています。ねずみが生息せず、蚊・はえその他の害虫が発生しないようにすることも、独立した項目です(同第3号)。
囲いから離して積むなら囲いの下端から50%の勾配
屋外で容器を用いずに保管する場合の高さは、囲いに「直接負荷部分」があるかどうかで計算が分かれます(施行規則第8条第2号ロ)。直接負荷部分とは、産業廃棄物の荷重が直接かかる構造である囲いの部分です。
直接負荷部分がない場合、言い換えると囲いに荷重をかけずに積む場合は、囲いの下端を通り水平面に対し上方に50%の勾配を有する面が上限です(同ロ(1))。50%の勾配は、平成10年通知の言葉では「水平方向2に対し垂直方向1の勾配」で、囲いのきわは低く中央に向かって高くできる山型が基準の形です。
囲いに寄せて積むなら上端から50cm下が基準線
直接負荷部分がある場合、言い換えると囲いにもたれさせて積む場合は、まず「基準線」を決めます。基準線は直接負荷部分の上端から下方に垂直距離50cmの線で、囲いの高さが50cmに満たないときはその下端です(同ロ(2))。
基準線から保管場所の側へ水平距離2m以内の部分は、基準線を通る水平面が上限です。2mを超える部分は、2mの線を通り水平面に対し上方に50%の勾配を有する面が上限です。囲いの一部だけが直接負荷部分なら、両方の計算で得た高さのうち低い方が上限です。群馬県の案内ページには、この2パターンのイメージ図が載っています(群馬県サイト、2026年9月15日確認)。掲示板に書く「高さのうち最高のもの」は、平成10年通知によれば、基準上許容される積み上げ高さの最高部分の、地盤面からの高さです。
保管量の上限は誰にどう適用されるか
「何日分まで置いてよいか」は、保管する立場と目的で答えが変わります。
| 保管の場面 | 数量の上限 | 根拠 |
|---|---|---|
| 排出事業者が事業場内で運搬されるまで保管する | 数量の上限なし。生活環境の保全上支障のないように保管する | 法第12条第2項、施行規則第8条、平成10年通知 |
| 積替えのための保管(収集運搬に伴う保管) | 保管場所から1日に搬出する量(日ごとの搬出量をならした量)の7日分 | 施行令第6条第1項第1号ホ |
| 処分・再生のための保管 | 処理施設の1日当たりの処理能力の14日分。省令で定める特例あり | 施行令第6条第1項第2号ロ(3)、施行規則第7条の8 |
出典: 廃棄物処理法・同施行令・同施行規則(e-Gov法令検索)、平成10年5月7日付け通知(環境省サイト)、いずれも2026年9月15日確認
排出事業者の事業場内保管に数量の上限はない
施行規則第8条に数量や日数の定めはなく、平成10年通知も、排出場所から運搬されるまでの間に事業者が行う保管には保管数量の上限規制の適用がないと明記しています。ただし法第12条第2項は生活環境の保全上支障のないように保管することを求めており、積み上げ高さや飛散流出の防止は保管量が増えるほど満たしにくくなります。引き取りの頻度は、基準を満たし続けられる量から逆算して決めることになります。
処理業者側は7日分と14日分が上限
収集運搬業者が積替えのために保管できる数量は、保管場所から1日に搬出する量(施行令は日ごとの搬出量をならした量と定めています)に7を乗じた数量までです(施行令第6条第1項第1号ホ)。処分業者が処分または再生のために保管できる数量は、処理施設の1日当たりの処理能力に相当する数量に14を乗じた数量までです(同項第2号ロ(3))。期間も、適正な処分または再生を行うためにやむを得ないと認められる期間に限られます(施行規則第7条の6)。14日分の特例は施行規則第7条の8にあります。
これらの上限は、処理業者の掲示板に「積替えのための保管上限」「処分等のための保管上限」として表示されます(施行規則第7条の3・第7条の5)。委託先が積替保管を含む許可かどうかは許可番号の4桁目で分かり、読み方は許可番号11桁の読み方で整理しています。
建設廃棄物を事業場の外で保管するなら届出が要る
排出事業者が産業廃棄物を生ずる事業場の外で自ら保管する場合、条件にあてはまれば、あらかじめ都道府県知事に届け出なければなりません(法第12条第3項)。
対象は建設工事の産業廃棄物を300平方メートル以上の場所で保管するとき
届出の対象になるのは、建設工事に伴い生ずる産業廃棄物です(施行規則第8条の2)。建設工事とは土木建築に関する工事で、工作物の全部または一部を解体する工事を含みます(法第21条の3第1項)。工場や店舗の日常の操業から出る廃棄物は、この届出の対象ではありません。
届出の対象になる保管は、保管の用に供される場所の面積が300平方メートル以上である場所で行う保管です(施行規則第8条の2の2)。埼玉県の案内は、この面積を「囲い等により囲われている保管の場所の面積」と説明しています(埼玉県サイト、2024年12月25日掲載、2026年9月15日確認)。収集運搬業または処分業の許可に係る施設で行う保管、産業廃棄物処理施設の設置許可に係る施設で行う保管などは対象から外れます(同条各号)。
届出書は様式第2号の4平面図と見取図を添える
届出書は施行規則の様式第2号の4です。記載するのは、氏名または名称と住所、保管場所の所在地・面積・産業廃棄物の種類・保管上限、屋外で容器を用いずに保管する場合はその高さ、保管の開始年月日です(施行規則第8条の2の4第1項)。添付するのは、保管場所を使用する権原を証する書類と、平面図および付近の見取図です(同条第2項)。
届出書に書く「保管上限」について、埼玉県の案内は、積替えのための保管なら1日の搬出量の7日分、処分等のための保管なら原則として処理能力の14日分と説明しています。平成10年通知も、排出場所から離れた場所での保管は運搬に伴う保管として扱い、積替えのための保管上限が適用されるとしています。
変更は事前に廃止は30日以内に届け出る
届け出た事項を変更するときは、変更前に様式第2号の5で届け出ます(法第12条第3項後段、施行規則第8条の2の5)。保管をやめたときは、やめた日から30日以内に様式第2号の6を提出します(施行規則第8条の2の6)。
非常災害のために必要な応急措置として保管する場合は事前の届出が不要で、保管をした日から起算して14日以内に届け出ます(法第12条第4項、施行規則第8条の2の3・第8条の2の7)。特別管理産業廃棄物も同じ仕組みです(法第12条の2第3項・第4項)。
基準に合わない保管にはどんな措置があるか
基準に適合しない保管が行われた場合、都道府県知事は期限を定めて、保管の方法の変更その他必要な措置を講ずるよう命ずることができます(法第19条の3第2号)。この改善命令に違反すると、3年以下の拘禁刑もしくは300万円以下の罰金、またはその併科です(法第26条第2号)。
基準に適合しない保管によって生活環境の保全上支障が生じ、または生ずるおそれがあると認められるときは、都道府県知事は必要な限度で、その支障の除去等の措置を命ずることができます(法第19条の5第1項)。この措置命令に違反すると、5年以下の拘禁刑もしくは1,000万円以下の罰金、またはその併科です(法第25条第1項第5号)。
法第12条第3項の届出をせず、または虚偽の届出をした者は、6月以下の拘禁刑または50万円以下の罰金です(法第29条第1号、e-Gov法令検索、2026年9月15日確認)。
保管基準は、委託先に引き渡す前に排出事業者が自分で守る義務です。引き渡した後の流れはマニフェスト(産業廃棄物管理票)の基本で整理しています。
よくある質問
掲示板はA4の紙を貼るだけでもよいですか。
縦および横それぞれ60cm以上という大きさが施行規則第8条第1号ロ(1)で定められているため、A4やA3の紙では大きさの要件を満たしません。平成10年通知は、通常出入りする箇所に外部から見やすいように設置し、白地に黒色の文字など見やすい表示で、雨水等で汚損したり消えたりしないものにすることを求めています。
工場の敷地内に保管する産業廃棄物は何日分まで置けますか。
排出事業者が事業場内で運搬されるまでの間に行う保管に、日数や数量の上限は定められていません。平成10年通知も、この保管には保管数量の上限規制の適用がないと明記しています。7日分・14日分は収集運搬業者と処分業者の保管に適用される上限です。ただし法第12条第2項が求める生活環境の保全上支障のない状態を保てる量が、実質の上限になります。
解体現場の廃材を自社の資材置き場に運んで置くとき、届出は必要ですか。
建設工事に伴い生ずる産業廃棄物を、それが生じた事業場の外で、面積300平方メートル以上の場所に保管するなら、保管を始める前に様式第2号の4で都道府県知事に届け出ます(法第12条第3項、施行規則第8条の2・第8条の2の2)。300平方メートル未満なら届出は不要ですが、囲い・掲示板・飛散流出の防止などの基準は同じように適用されます。
まとめ
排出事業者が事業場内で産業廃棄物を保管するときの基準は、施行規則第8条の5項目です。周囲に囲いを設け、縦横60cm以上の掲示板に4つの事項を表示し、汚水が出るおそれがあれば排水溝と不浸透性の底面を整え、屋外で容器なしに積むなら50%の勾配を超えないようにし、ねずみと害虫を発生させないようにします。数量の上限は排出事業者の事業場内保管にはなく、7日分・14日分は処理業者側の基準です。建設工事の産業廃棄物を事業場の外で300平方メートル以上の場所に保管するなら、保管前に様式第2号の4の届出が要ります。
保管の次は委託です。委託先の許可番号は許可番号チェッカーで自治体の名簿と照合できます。都道府県から探すときは、神奈川県・愛知県・埼玉県・佐賀県・北海道の各ページが使えます。
参考文献
- 廃棄物の処理及び清掃に関する法律(e-Gov法令検索)(2026-09-15確認)
- 廃棄物の処理及び清掃に関する法律施行令(e-Gov法令検索)(2026-09-15確認)
- 廃棄物の処理及び清掃に関する法律施行規則(e-Gov法令検索)(2026-09-15確認)
- 廃棄物の処理及び清掃に関する法律等の一部改正について(平成10年5月7日付け衛環第37号、環境省サイト掲載)(2026-09-15確認)
- (特別管理)産業廃棄物の保管基準(排出事業者向け)(群馬県)(2026-09-15確認)
- 事業場外の保管届出制度について(埼玉県)(2026-09-15確認)