マニフェストの書き方排出事業者の記入欄と照合確認

紙マニフェストを初めて交付するとき、どの欄を誰が書き、戻ってきた票をどう確かめればよいのか迷う担当者は多いはずです。排出事業者が書くのは施行規則第8条の21が定める事項で、運搬と処分の終了に関する欄は受託した業者が埋めます。交付した側には、返ってきた写しで終了を確認する義務があり、期限は90日と180日(特別管理産業廃棄物の収集運搬・処分は60日)です。条文と全産連の解説をもとに、欄ごとの記入元、ミスが出やすい箇所、照合の手順を整理しました。読み終えるころには、手元の票をその場で点検できます。

紙マニフェストは7枚複写でA票からE票に分かれる

紙マニフェストは、直行用なら7枚複写の1組で使います。全国産業資源循環連合会(全産連)の解説では、各票の役割は次のとおりです(2026年10月13日確認)。

票保存・返送の流れ排出事業者にとっての意味
A票排出事業者が保存交付した記録(控え)
B1票収集運搬業者が控えとして保存手元には残らない
B2票収集運搬業者から排出事業者へ返送運搬終了の確認に使う
C1票処分業者が保存手元には残らない
C2票処分業者から収集運搬業者へ返送手元には届かない
D票処分業者から排出事業者へ返送処分終了の確認に使う
E票最終処分の終了後、排出事業者へ返送最終処分終了の確認に使う

排出事業者の手元に最終的に集まるのは、A票・B2票・D票・E票の4枚です。積替えを挟む場合は積替用の票を使います。制度の全体像はマニフェストの基本、電子で運用する場合は電子マニフェストの始め方で扱っています。建設工事の廃棄物では排出事業者が元請業者になるため、交付する人の考え方は建設廃棄物の処理で確認できます。

排出事業者が書くのは施行規則第8条の21の事項

交付は、産業廃棄物を引き渡すのと同時に行います。法第12条の3第1項が、種類・数量・受託者の名称などを記載した管理票の交付を求めています。記載事項の中身は、施行規則第8条の21に列挙されています(e-Gov法令検索、2026年10月13日確認)。

条文の項目を、記入元で整理すると次のようになります。

記載事項何を書くか記入元・確認先
交付年月日・交付番号引渡しの日と、自社で付ける番号自社の台帳
氏名または名称・住所排出事業者としての自社登記・契約書
排出した事業場の名称・所在地廃棄物が出た事業場自社(事業場が複数なら事業場ごと)
交付担当者の氏名票を交付する担当者自社
産業廃棄物の種類・数量法第12条の3第1項が求める事項委託契約書・計量の記録
荷姿容器や梱包の形実際の引渡し状態
受託者の氏名または名称・住所収集運搬業者・処分業者委託契約書・許可証
運搬先の事業場の名称・所在地引き渡す先の処分場所委託契約書
最終処分を行う場所の所在地最終処分の場所委託契約書・処分業者への確認

受託者の名称や事業の範囲は、委託契約書に添付した許可証の写しと突き合わせます。許可番号の読み方は許可番号の読み方、名簿での確認は許可番号チェッカーで行えます。石綿含有産業廃棄物などを含む場合は、その数量も記載事項に加わります。

収集運搬・処分業者が書く欄は運搬と処分の終了を示す

運搬と処分の終了に関する欄は、受託した業者が記入して返送します。施行規則の定めは次のとおりです(e-Gov法令検索、2026年10月13日確認)。

  • 運搬受託者(第8条の22): 氏名または名称、運搬を担当した者の氏名、運搬を終了した年月日
  • 処分受託者(第8条の24): 氏名または名称、処分を担当した者の氏名、処分を終了した年月日、最終処分の場合は最終処分を行った場所の所在地

運搬受託者は運搬を終了した日から10日以内に、処分受託者は処分を終了した日から10日以内に、写しを排出事業者へ送付します(第8条の23・第8条の25)。排出事業者が書き込む欄ではないため、空欄のまま戻ってきたときは、業者に記入を求めてください。

返送された票はA票と並べて照合し90日・180日で確認する

交付した側は、写しの送付を受けたら、運搬または処分が終了したことを写しで確認し、その写しを5年間保存します(法第12条の3第6項、施行規則第8条の26)。A票も交付の日から5年間の保存が必要です(法第12条の3第2項、同規則第8条の21の2)。

照合は、手元のA票と返送された票を並べて次の点を見ます。

  1. 交付番号が一致しているか
  2. 産業廃棄物の種類・数量・荷姿が、A票の記載と食い違っていないか
  3. 運搬・処分の終了年月日が記入され、担当者名と業者名が揃っているか
  4. 最終処分の場所の所在地が、契約書の内容と合っているか

写しが戻る期限は、施行規則第8条の28が定めています。

返送される票期限(交付の日から)
B2票・D票90日(特別管理産業廃棄物は60日)
E票(最終処分終了)180日

期限までに写しが届かないとき、記載事項に欠けがある写しが届いたとき、虚偽の記載があったときは、排出事業者が処理状況を把握し、必要な措置を講じます。同規則第8条の29は、様式第四号の報告書を都道府県知事へ出す期限を、期限が経過した日などから30日以内と定めています。

記入と照合でつまずきやすい箇所を表で点検する

条文と全産連の解説から読み取れる、点検のポイントをまとめます。

箇所点検すること根拠
交付の時期引渡しと同時に交付しているか法第12条の3第1項
作成の単位廃棄物の種類ごと、運搬車ごと、運搬先ごとに作っているか全産連の解説
種類・数量・荷姿契約書と実際の引渡しが一致しているか施行規則第8条の21
最終処分の場所契約書の記載と同じ所在地か施行規則第8条の21
返送日の管理交付日から90日・180日の期限を台帳で追っているか施行規則第8条の28
特別管理産業廃棄物返送期限が60日になっているか施行規則第8条の28
保存返送された写しとA票を5年間保存しているか施行規則第8条の21の2・第8条の26

作成の単位は、同じ廃棄物でも運搬車が違えば別の票になるという意味です。複数の運搬車に同時に引き渡し、運搬先が同じ場合は、1つの票にまとめてよいと全産連は解説しています。

よくある質問

排出事業者はB1票やC票も保存するのですか。

B1票は運搬業者、C1票は処分業者、C2票は運搬業者が保存する票です。排出事業者が保存するのはA票と、返送されたB2票・D票・E票です。

90日を過ぎても票が戻らないときは何をしますか。

まず委託先に処理状況を問い合わせて把握します。そのうえで生活環境の保全上の支障の除去または発生の防止に必要な措置を講じ、期限が経過した日から30日以内に様式第四号の報告書を都道府県知事へ提出します(施行規則第8条の29)。

記入ミスに気づいたときはどうしますか。

票の内容が実態と違うと分かったら、交付した側が委託先と事実を確認し、記録に残します。虚偽の記載のある写しを受け取った場合は、記載のあることを知った日から30日以内に報告する定めがあります(施行規則第8条の29)。

まとめ

排出事業者が書くのは施行規則第8条の21の事項で、運搬・処分の終了に関する欄は受託した業者が書きます。返送された票はA票と並べて照合し、90日・180日(特別管理産業廃棄物は60日)の期限と5年の保存を台帳で管理してください。受託者の名称や許可の範囲は、許可番号チェッカーで名簿と突き合わせると、記入前に確かめられます。制度全体はマニフェストの基本で確認できます。

参考文献