産業廃棄物の罰則一覧排出事業者が注意する行為と両罰規定
産業廃棄物の処理を外部に委託している会社では、どの行為が処罰の対象になり、会社にいくらの罰金が科されるのかを担当者が把握しておく必要があります。廃棄物処理法は、委託・マニフェスト・投棄といった行為ごとに、第25条から第30条で刑の上限を定め、第32条で法人にも罰金を科すと定めています。e-Gov法令検索の条文と環境省の行政処分の指針をもとに、排出事業者に関わる罰則を条文番号つきの表にしました。読み終えるころには、自社の業務のどこに処罰のリスクがあるかを行為ごとに確認できるようになります。
罰則は行為ごとに決まっている
廃棄物処理法の罰則は、第25条から第30条に、行為ごとの刑の上限として並んでいます。排出事業者に関わる行為を、重いものから順に1つの表にしました。
| 行為 | 根拠条文 | 行為者の刑の上限 | 法人の罰金の上限(第32条) |
|---|---|---|---|
| みだりに廃棄物を捨てる | 第16条、第25条第1項第14号 | 5年以下の拘禁刑または1,000万円以下の罰金(併科あり)。未遂も処罰 | 3億円 |
| 基準によらず廃棄物を焼却する | 第16条の2、第25条第1項第15号 | 同上。未遂も処罰 | 3億円 |
| 許可を受けていない者に処理を委託する | 第12条第5項、第25条第1項第6号 | 5年以下の拘禁刑または1,000万円以下の罰金(併科あり) | 1,000万円 |
| 措置命令に従わない | 第19条の5・第19条の6、第25条第1項第5号 | 同上 | 1,000万円 |
| 委託基準に反して委託する | 第12条第6項、第26条第1号 | 3年以下の拘禁刑または300万円以下の罰金(併科あり) | 300万円 |
| 改善命令に従わない | 第19条の3、第26条第2号 | 同上 | 300万円 |
| マニフェストを交付しない・記載しない・虚偽の記載で交付する | 第12条の3第1項、第27条の2第1号 | 1年以下の拘禁刑または100万円以下の罰金 | 100万円 |
| マニフェストの写しを保存しない | 第12条の3第2項・第6項、第27条の2第5号 | 同上 | 100万円 |
| 電子マニフェストで虚偽の登録をする | 第12条の5、第27条の2第9号 | 同上 | 100万円 |
| 事業場外保管の届出をしない | 第12条第3項、第29条第1号 | 6月以下の拘禁刑または50万円以下の罰金 | 50万円 |
出典: e-Gov法令検索の廃棄物処理法第16条・第16条の2・第25条〜第29条・第32条(2026年10月13日確認)
行為者の列は違反した個人に科される刑の上限、法人の列は従業員が業務に関して違反したとき会社に科される罰金の上限です。以下、行為の種類ごとに見ていきます。
委託に関する罰則許可と基準の両方が対象
排出事業者の罰則で最も重いのは、処理の委託に関するものです。委託の罰則は2段階に分かれます。排出事業者としての処理責任の範囲は、排出事業者とは|産廃の処理責任と委託後の責任で条文ごとに整理しています。
許可を受けていない者への委託は5年以下の拘禁刑
産業廃棄物の運搬や処分は、収集運搬業や処分業の許可を受けた者などに委託しなければなりません(法第12条第5項)。この規定に反して委託した者は、5年以下の拘禁刑もしくは1,000万円以下の罰金、またはその両方の対象です(法第25条第1項第6号)。北海道の排出事業者向けページも、最大で5年以下の懲役もしくは1,000万円以下の罰金またはその併科と案内しています(2026年10月13日確認)。
委託基準に反する委託は3年以下の拘禁刑
許可を持つ業者への委託でも、政令の委託基準に従わないと罰則の対象です(法第12条第6項)。反した者は、3年以下の拘禁刑もしくは300万円以下の罰金、またはその両方です(法第26条第1号)。
委託基準には、収集運搬と処分それぞれの業者との書面契約、法定記載事項、許可証の写しの添付などが含まれます。契約書に何を書くかは産業廃棄物の委託契約書|必ず書く法定記載事項で条文ごとに整理しています。
マニフェストに関する罰則交付と保存が対象
マニフェストは、廃棄物を引き渡すときに排出事業者が交付する管理票です。排出事業者に関わる罰則は、法第27条の2に並んでいます。刑の上限は1年以下の拘禁刑または100万円以下の罰金です。
- 管理票を交付しない、または法定の事項を記載しない、虚偽の記載をして交付する(第1号)
- 運搬や処分の終了を知らせる管理票の写しを保存しない(第5号)
- 電子マニフェストで虚偽の登録をする(第9号)
交付は廃棄物の引き渡しと同時です(法第12条の3第1項)。写しが決まった期間内に戻らないときは、状況を把握して適切な措置を講じなければなりません(同条第8項)。この措置を講じなかったときは、次の節で触れる措置命令の対象になりえます(法第19条の5第1項第3号)。交付の流れはマニフェスト(産業廃棄物管理票)の基本で整理しています。
保管・投棄に関する罰則保管は命令を経て処罰される
保管基準そのものには刑罰が直接ない
排出事業者は、産業廃棄物が運搬されるまでの間、保管基準に従って保管します(法第12条第2項)。第25条から第30条に、この規定への違反を直接の対象とする号はありません。
基準に合わない保管が行われると、都道府県知事が改善命令を出せます(法第19条の3第2号)。この命令に従わない者に、3年以下の拘禁刑もしくは300万円以下の罰金、またはその両方が定められています(法第26条第2号)。保管基準の中身は産業廃棄物の保管基準で整理しています。
事業場の外で保管するときの事前届出(法第12条第3項)は別です。届出をしない、または虚偽の届出をした者は、6月以下の拘禁刑または50万円以下の罰金です(法第29条第1号)。
投棄と焼却は最も重い刑と3億円の罰金
法第16条は、何人もみだりに廃棄物を捨ててはならないと定めています。違反した者は5年以下の拘禁刑もしくは1,000万円以下の罰金、またはその両方で、未遂も処罰されます(法第25条第1項第14号・第2項)。神奈川県も、個人は5年以下の拘禁刑もしくは1,000万円以下の罰金またはその両方、法人は3億円以下の罰金と案内しています(2026年10月13日確認)。
焼却も同じ重さです。法第16条の2は、基準に従った焼却などの例外を除き、廃棄物の焼却を禁じています(罰則は第25条第1項第15号)。
法人に科される両罰規定と措置命令
従業員の行為で会社も罰金を科される
法第32条第1項は、法人の代表者や従業者が法人の業務に関して違反行為をしたとき、行為者を罰するほか、法人にも罰金刑を科すと定めています。これが両罰規定です。担当者個人の問題として終わらず、会社が罰金の対象になります。
法人の罰金の上限は、違反の種類で分かれます。
- 第25条第1項第1〜4号・第12号・第14号・第15号とその未遂は、3億円以下の罰金です。投棄や焼却などが入ります
- それ以外の第25条から第30条の違反は、各条文に定められた罰金額がそのまま法人の上限です。許可を受けていない者への委託は1,000万円、委託基準に反する委託は300万円です
措置命令は罰則とは別に出される
罰則とは別に、都道府県知事は措置命令を出せます。基準に合わない保管や処理で生活環境の保全上の支障が生じたときや、そのおそれがあるときに、支障の除去等の措置を命じる制度です。
排出事業者に対する命令は、2つの経路があります。1つは、委託基準に反する委託をした者への命令です(法第19条の5第1項第2号)。もう1つは法第19条の6で、処分者等だけでは除去が困難で、排出事業者が適正な対価を負担していないなどの場合に出されます。
環境省の行政処分の指針は、法第19条の6について、委託基準や管理票の義務に違反していなくても、注意義務に反すれば対象にする趣旨だと説明しています。委託しただけでは排出事業者の責任は免れません(2026年10月13日確認)。
命令に従わない者には、5年以下の拘禁刑もしくは1,000万円以下の罰金、またはその両方が定められています(法第25条第1項第5号)。
過料も別枠です。事業場外保管を行った後14日以内の届出、多量排出事業者の処理計画の提出や実施状況の報告を怠ると、20万円以下の過料が科されます(法第33条)。
よくある質問
担当者が単独で違反した場合も、会社は処罰されますか。
従業員が会社の業務に関して違反行為をしたときは、行為者とは別に法人にも罰金刑が科されます(法第32条第1項)。
刑の上限と実際の処罰は同じですか。
同じではありません。表の数字は法律が定める上限で、実際の刑の重さは事案ごとに裁判所が決めます。罰則とは別に、措置命令で支障の除去等を求められることもあります。
まとめ
排出事業者の罰則は、投棄・焼却が最も重く、許可を受けていない者への委託、委託基準に反する委託、マニフェストの交付・保存と続きます。従業員の行為でも、第32条により会社が罰金を科されます。上限は、投棄・焼却で3億円、許可を受けていない者への委託で1,000万円です。保管基準や処理状況の確認を怠ると、刑罰より前に措置命令の対象になります。
委託前の第一歩は、委託先の許可の確認です。許可番号チェッカーで自治体の名簿と照合できます。都道府県から探すときは、神奈川県・愛知県・埼玉県・佐賀県・北海道の各ページが使えます。
参考文献
- 廃棄物の処理及び清掃に関する法律(e-Gov法令検索)(2026-10-13確認)
- 行政処分の指針について(通知)環循規発第2104141号(環境省)(2026-10-13確認)
- 排出事業者の皆様へ(北海道)(2026-10-13確認)
- 廃棄物の不法投棄を見つけたときは(神奈川県)(2026-10-13確認)